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高齢者や糖尿病患者に多い食後低血圧は糖質制限で防げる


前回の記事で、糖質大量摂取後にぼ~っとして眠く、だるくなる時には「低血圧」に陥っているのではないかと書きました。

実際に高齢者の33~40%には発生しているという「食後低血圧」は、若年者でも糖尿病患者にはしばしばみられる現象として報告されています。

そして糖尿病患者の食後高血圧はαグルコシダーゼ阻害剤の服用で症状が改善するという報告もありました。


では、ひょっとすると、「糖質制限が食後低血圧の予防法になる」のではないか?

それなら、まずは自分で食事内容を変えて、食後に血圧と血糖値を頻繁に計測すればいいかもしれないと思いました。

明らかに糖質大量摂取後はけだるくなるので。


ですが、それ以前にそういうことに気付いて調べている人がすでにいるのではないかと思い、Pubmedを文献検索したら、いました(笑)。

以下の文献です。

J Gerontol A Biol Sci Med Sci. 2001 Dec;56(12):M744-8.
The influence of low-, normal-, and high-carbohydrate meals on blood pressure in elderly patients with postprandial hypotension.
(食後低血圧と診断された高齢患者の食後血圧に及ぼす、低糖質、中糖質、高糖質食の影響について)

Vloet LC, Mehagnoul-Schipper DJ, Hoefnagels WH, Jansen RW.
Department of Geriatric Medicine, University Medical Center Nijmegen, The Netherlands.

概要

BACKGROUND(研究背景):
Postprandial hypotension (PPH) is a common and serious disorder of blood pressure (BP) regulation in elderly people. It has been suggested that primarily the carbohydrate (CH) content of a meal induces the BP decrease. Therefore, we examined the relationship between the CH content of meals and postprandial BP responses in elderly patients diagnosed with PPH.
(食後低血圧(PPH)は高齢者ではしばしば認められる深刻な血圧調節障害である。食事中の炭水化物量が血圧低下に関連することが示唆されている。そこで、我々はPPHの診断を受けた高齢者において食事内の炭水化物量が血圧変化にどのような影響を及ぼすかを観察した。)
METHODS(研究方法):
Twelve geriatric patients (aged 75 to 91 years; 6 men) who were previously diagnosed with PPH received standardized liquid meals with low- (25 g), normal- (65 g), and high- (125 g) CH content in random order on three separate days. Systolic BP (SBP), diastolic BP, and heart rate were measured every 5 minutes from 20 minutes before until 75 minutes after each meal. Postprandial symptoms were recorded every 15 minutes.
(12人の高齢患者(75歳から91歳、男性が6名)で、すでにPPHと診断を受けた患者に標準化された液体食を摂取してもらった、炭水化物含有量は低(25g)、中(65g)、および高(125g)である。投与はランダムに3日に分けて行われた。収縮期血圧、拡張期血圧、心拍数について、食前20分から食後75分にかけて5分間隔で計測した。食後の症状は15分ごとに記録された。)
RESULTS(研究結果):
The maximum decrease in SBP was significantly smaller after the low-CH meal (-28 +/- 5 mm Hg) than after the normal- (-39 +/- 7 mm Hg) and high-CH meals (-40 +/- 5 mm Hg) (p <.050 between groups). In addition, the duration of PPH was significantly shorter (p <.010), and postprandial symptoms were less frequent and less severe after the low-CH meal.
(収縮期血圧の低下は明らかに低炭水化物摂取群で(-28 +/- 5 mm Hg)、中等度(-39 +/- 7 mm Hg)あるいは高糖質摂取群(-40 +/- 5 mm Hg)のそれより低くなった。さらに、食後低血圧の持続時間も明らかに短くなり、症状も少なく、軽くなった。)
CONCLUSIONS(結論):
Reducing the CH amount in meals induces significantly smaller decreases in SBP, shorter duration of PPH, and reduction of PPH-related symptoms. Therefore, limiting the CH content of an elderly patient's meal can be a clinically effective nonpharmacological treatment for PPH in elderly patients and can reduce the risk of developing symptomatic PPH.
(食事中の炭水化物量を減らすことは明らかに収取期血圧の低下の程度を低くし、PPHの時間を短くし、症状も和らげた。したがって、低糖質食は高齢患者のPPHの治療において薬剤を使わない効果的な治療法であり、PPHの症状を抑えることのできる方法である。)
PMID: 11723147
[PubMed - indexed for MEDLINE]
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/11723147


糖質制限が「高齢者の食後低血圧(PPH)」にあきらかに好影響を与えるというものですね。

食後高血圧は糖質摂取だけでなく、食べるスピードや食べる量も影響を及ぼしているとされていますが、調理する側でコントロールできることを考えれば、糖質制限が最も効果的な発症予防方法であることは明らかに思えます。


この文献に関しては高齢者で検討したものですが、2型糖尿病患者においてもスクリーニングをかけてみれば、食後低血圧の症状はけっこう頻繁に認められているのではないかという気がします。

それならば、それを調べて、さらに上に紹介したような糖質制限の実験をしてみればいいですね。

糖質制限が糖尿病患者の食後低血圧に効果があるかどうかも分かりますし、論文も書けます。


コントロールの食事は日本糖尿病学会がこれまでずっと指導してきた糖質60%の食事でお願いします(笑)。


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2012年7月 3日 14:09

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